KEMURI @Zepp Fukuoka


 ケムリのラストツアー、ゼップ福岡。

 マルさんに連れて行ってもらいました。だから僕はそんなにケムリには思い入れがない。まーだから、そんな生半可な気持ちでラストライブだけを見るってのはどうかな〜、一緒に楽しむファンの皆さんと温度差が出て失礼じゃないかな〜とか思いながら行きました。

 ゼップのあるヤフードーム周辺、今日は野球日本代表の壮行試合があるということで人がいっぱい。キャパにとんでもない差があるけれど、ホークスタウンの中にはケムリTシャツを着た人がわんさかいた。みんな寒いのにTシャツで出歩いていたり、短パンで出歩いていたり。すごいね、気合の入り方が。

 今日はじっくりケムリのラストライブを心に刻もうと思い、しっかり見れる場所を確保。3ブロック目のバーにもたれる場所を陣取る。前述のように僕は肋骨を骨折しているので、あまり激しいのは禁物です。しかし、人は入りに入って、ケムリTシャツの女の子が開演時間前にはワラワラいるようなスペースになってしまった・・・ヤバイ。それにしてもケムリファンはケムリのTシャツの着用率が異常に高い。前2ブロックぐらいは大体8割ぐらい着てたんじゃないかな〜。気合の入りっぷりはすごいです。対して僕は、思いっきり東京事変のTシャツを着ていました。

 開演時間になって最初に出てきたのはBEAの森さん。九州のイベンターとして何回か名前の聞いたことがある人。ケムリの九州のツアーは10年ほど仕切っていた人。そんな彼が最後のライブを最高のものにするように、禁止事項を読み上げます。ペットボトルを投げるのは禁止。あたったら危ないから。水を撒くのは禁止。機材にかかると故障してしまうから。モッシュ・ダイブは基本的に禁止。けが人が出ると後味が悪くなるから。すべてはケムリの最後のライブを最高のカタチで楽しみ、終わらせるために。そんなことを訴える森さんを見てるだけで涙出そうになったよ。本当に最後ってことだし、その最後を最高のカタチにしようとみんな考えてるんだな〜って思って。

 開演。伊藤ふみおはじめメンバーが出てくる。ふみおは白のポロシャツに白の短パンっていう、体操のお兄さん?ってバリの爽やかないでたち。オーラとかが新興宗教の教祖のような感じがした。音を出しだすと、一気に狂乱の宴へとフロアが変わる。一度に10人以上の人が飛び、フロアのクラウドは暴れまり。なんだこの空間は・・・。レゲエな感じから一気に定番曲へと流れる。気持ちよい音、キラキラした照明、暴れまくるクラウド、そしてその人たちはすべて笑いながら暴れる。今の瞬間この空間が世界で一番幸せな場所であると確信した。こんなにハッピーな空間っていうのは、これまでもこれからもお目にかかることは、なかなかないだろう。ポリのNow is the timeのツアーの時ぐらいかな?

 ケムリはスカやパンクを中心に、レゲエのようなビーチソングもやる。アンセムナンバーの連続だったと思われる今日のライブにおいて、随所にユラユラするような気持ちいいナンバーも随所に入れてくるのに心を挽かれた。日本において最高にエクレティックなバンドはこのバンドだったかもしれない。最高のバンドを今年失うのだ。

 今日のライブは本当に激しかった。今まで体験した中で一番激しかった。もう何人の人が僕をよじ登って行っただろう。しまいには急に背中を叩かれて後ろを振りかって見ると「私を飛ばして」って言って来る人までいるし。もういっぱい飛ばしましたから。前へ前へ。

 "満月の夜に花"の時にマルさんが飛んだ。あのマルさんが飛んだ。

 こんなに激しいライブなのに不快に思う人がいないのは、みんなかなりこの空間に慣れているってことがあるだろう。暴れ慣れている。激しいわりにはマナーが良かった。みんなでハッピーなライブを作り上げようとしている。このケムリファンはすごいと思った。最近mixiのアーティストコミュでやたらとライブマナー向上を訴えるモノが蔓延しているけど、あれほどみすぼらしくて、かっこ悪いものはない。マナーばっかに気をとられて、楽しむってことを忘れてるんじゃないかな〜って思って、気分が悪くなる。みながそれぞれ意思を持っているケムリファンはその点において抜群に優れている。

 本編を30曲、ガッツリ2時間。怒涛のラッシュだった。やっぱりふみおの言葉は忘れられない。「人のせいにしない。自分でモノを考え、行動する。ただただ前へ前へと進み続ける。」

 ケムリは今年で解散である。MCで、ケムリは解散だが、これからは皆でブラッシュアップさせて、ケムリをもっと良いものにしてくれ、って言っていた。

 アンコールも5曲もやった。総勢35曲、2時間半のライブとなった。すごいな、本当に。PMAからAto-Ichinenの時は最高潮の狂乱が巻き起こる。肋骨ヤバイ。

 最後はI'm Satisfiedでしめ。俺は満足した。そんな解散なんだろう。終わった後、フロアの皆が笑顔だったのが印象的だった。こんな解散ライブほかにはない。普通は泣いている人とかいっぱいいるはずだ。しかし、皆は笑顔。まるで来年もまたケムリが見れるとでも思っているような笑顔だった。そして爽やかにこの場を去っていく。皆、ケムリの解散を納得行くカタチで終えてるんだろう。イザコザを全く残さず、実にケムリらしい解散だったと思う。凄いわ、本当に凄いわ。

 最近ケムリがなぜ解散するのかをふと考えることが多かったんだけど、自分的には世の中が少しでもPMAな思考(前向きな思考)を持ってきてるからだと思う。なんやろう、グランジを完全に抜けたといえば、それはそえで簡潔でいいんだろけど。やっぱり世の中、最悪のことが多いけど、ちょっとずつ前向きな思考のものっていうのが増えてきてるんじゃないかな〜って、感覚的だけど思う。だからこのPMAの伝道を目的にしたこのバンドは解散するんだと思う。このPMAを次は皆で広めていくってことがこれからの大事な仕事。

 ケムリのアティチュードはすばらしものがある。ケムリのTシャツの背中には、ほとんどこの文字が書かれてある。「LOVE PEACE ,and PMA」。うん、これ以上のロックアティチュードはないよね。このTシャツを着た彼氏彼女がライブに来てるわけですよ。もう感慨深いったらありゃしない。この2人で幸せな世界を作っていってください。

 マルさんは、今年で30になったんだけど帰りがけ「もうこんなに暴れるライブはもうないだろうな」って言った。もう何も言えませんわな。否定するのも不自然だし、肯定するのはなんか嫌や。特別なライブでした。