before +1


 あさって、木村カエラニューアルバム「+1」がリリースされます。明日には店頭に並びますね。僕は買います。

 ちょっとまとめたい観念に駆られ、僕が木村カエラを好きな理由ってのを書いていきます。ただこれは以前にいっぱい書いた記憶があるんだけど、まあ最近見始めた人もいるような気がするので、俺的カエラまとめをまた改めて更新します。あと、今回はアルバムリリース前ということで、アルバムごとのまとめをしようじゃないかと考えました。あとそれと、デビュー前段階の話をチラチラとして、まあその段階も踏んで奥行きを出しながら、カエラのことの俺的解釈を並べていきます。

 あっ、でもここに書いてあるの、ほとんどクイックジャパンの60号、ガールズオブザイヤー2005、特集・木村カエラと、ほとんど同じことを書くと思うので、そっちも参照してください。

Seventeen

 カエラの最初の活動ってのはモデルでした。Seventeenの専属モデルとして高校2年生から20歳まで活躍をしていました。

 セブンティーンでは、当時の鈴木えみをライトフィールドとすると、その逆・レフトフィールドと言いますか、あまり雑誌の趣旨とは言えない、カワイイを追求するというより、自分らしく普段着ることができるオシャレなものを雑誌で作っていこうという感じでやっていたらしいです。それで賛同してやっていたのが尾形沙耶香徳澤直子ら。

sakusaku

 sakusakuカエラの事を知ったといい人も多いでしょう。カエラの大出世番組となったのがこのsakusaku。増田ジゴローなどのキャラクターと繰り広げられる、天然かつ絶妙なやり取り。毎回違ったカタチで爆笑していたことを思い出します。この番組で彼女のキャラクターをなんとなく掴むことができたって人も多いんじゃないかと思います。

 このsakusakuの番組のプロデューサーに頼み込むことでカエラはデビューへの道を掴むことになります。

 「音楽をやりたい」という思いは誰よりもあった。パフォーマンスならできる、曲もアイディアもある、モデルで鍛えたアートワークのフォームもある。しかし実際に曲を作って、演奏をするようなメンバーやテクニックがない。そんな彼女がデビューする方法として、ひたすら人を使うことによって、曲を作ってもらい、そして演奏のメンバーを集めた。そして完成したのが神奈川限定で発売即完となったシングル「Level42」。この曲のPVで彼女はホウキをギターのように構えた“ホウキギター”で暴れまくっている。これには「私は今ギターは弾けなくて、ギターを持ってようが、ホウキを持ってようが変わらないんだけど、それでも私はやりたい」という強い意志の表れだと思います。あと、このホウキギターなんだけど、PV撮影中に彼女がどこからか見つけてきたもので、全く前もって予定されたものではありません。


「Level 42 / 木村カエラ

 すみません自分のことを重ねます。19歳ぐらいのときって、僕も大学には入ったけれど、具体的にアクションを起こすまでの、手段というのを持ち合わせてない。その方法までわかならい時期だと思うんです。ただ、なにかやりたい衝動だけは止まらないんだけど。そういう時はやっぱり人の力に頼るしかないと思います。とにかく人に作ってもらうことで、自分を表すことができる。なんと幸せな瞬間なんでしょうか。

1st Album「Kaela」 −初期衝動が詰まった優秀作

KAELA (初回盤 特典DVD付)

KAELA (初回盤 特典DVD付)

 素晴らしいアルバムだ。初期衝動が詰まった、パンクアルバム。限りなく優秀作だ。

 まずこのアルバムのジャケットを見て欲しい。かわいいグッツがカエラの周りを囲み、チェックのスカートでニット帽を被ったカエラはカワイイ。でも、見てもらいたいのはカエラの体勢。これは確実にバックの体勢です。そしてパンツ丸出し。カワイイを纏っているんだけど、確実に挑発している。パンクアルバムです。

 2曲目の「You Know You Love Me?」。アルバムの花形となる曲順を飾ってるのがこのナンバー。全英語詩で爽快に突き抜けていくパンクナンバー。

「You Know You Love Me? / 木村カエラ

 このアルバムは3人のプロデューサについてもらって作られてあります。名曲「Happiness!!!」「What ever looking for?」といったポップの職人としてカエラ像を作り上げた山沢大洋、この後カエラの総合プロデューサーとなるEL-MALOFOEの曾田茂一(通称:アイゴン)。そしてジェット機の鈴木玲二。プロデューサーの作り上げた世界を見事に演じるというカエラなりのフォーマットがここに出来つつあります。

 そのほかにも変則リフが痛快に決まる「誰」、周りの人への感謝を歌にこめた「Inventer」。自分に自信が持てないことへの不安を表現しきった「Because」など、アルバム通して落ち込むところがなく、鉄壁の12曲です。

2nd Album「Circle」 −モデル崩れが大化け。独自のスタイルが早くも完成

Circle

Circle

 ボーダフォン(当時)のCM、そして奥田民生の映画により、名前が一躍全国区に踊ったがこの時期です。激務の中、作り上げたこのアルバムは、カエラにとって飛躍のアルバムとなりました。

 このアルバムにおいて、カエラ独自の制作スタイルを完成させます。カエラの持ってきた詩と曲の世界観を元に、総合プロデューサーであるアイゴンが、その曲ごとにプロデューサーに発注し曲を書いてもらうという形です。すると、このアルバムの作曲家としてものすごく豪華な面々がそろうことになりました。奥田民生岸田繁(くるり)、堀江博久(NEIL & IRAIZA、くるりバンド、The Cornelius Group)、高桑圭(Great 3、Cirly Giraffe)、渡邊忍(ASPARAGAS)、mito(クラムボン)、吉村秀樹(bloodthirsty butchers)、田渕ひさ子(ex Number Girlbloodthirsty butchers)。演奏陣として、柏倉隆史(toe)、クハラカズユキ(ex thee michelle gun elephant)、恒岡章(Hi-STANDARD)、奥野真哉(SOUL FLOWER UlNION)、4106(SCAFULL KING)、TOKIE、大森はじめ(東京スカパラダイスオーケストラ)、小松正宏(bloodthirsty butchers)も参加。主にアイゴンの知り合いを中心に、インディロックの勇が揃いに揃いました。

 豪華すぎる作家陣に臆することなく、それぞれの曲の個性をうまく咀嚼して、カエラなりに表現。それがすべての曲において、バッチリはまっています(唯一はまってないのが、奥田民生の曲か??)。とくにエレクトロな曲とカエラの歌声のはまり具合はすごい。mito作「Circle」は聞いていて鳥肌が立つし、堀江作「I ❤ HUG」も優秀。

 また歌詞の面でも当時21歳の等身大の、強気な部分と弱気な部分が裏表な感じが出て、同世代の僕としてはとても共感できる内容でした。

 そんな裏表を表した、地味なんだけど、名曲。渡邊忍(通称:しのっぴ)作「You」をお聞きください。

「You / 木村カエラ

3rd Album「Screach」 −安定期カエラ

Scratch

Scratch

 ミカバンドなど外部ワークスが多かったのがこの時期。忙しい割には、Circle期よりも落ち着いてたという彼女。

 このアルバムも豪華作家陣を迎えます。AxSxE(exNATSUMEN)、Linus of Hollywood、しのっぴ、BEAT CRUSADERSNIRGILIS亀田誠治(東京事変)、Jez Ashurst(Farrah)、toe蔦谷好位置(YUKIプロデューサー)、mito、そしてアイゴンといったプロデュース陣、演奏陣は新たに石橋英子(Panic Smile)、中尾憲太郎(ex Number Girl)、その各プロデューサーの主力部隊が各曲にお目見えします。

 今作では作家陣もさらにヴァリエーションに富み、海外レコーディングなども経験。いろんなカタチでのカエラを出すことにより幅が広がりました。特にtoeとの曲では、ほとんどインスト。このような面も見せるようになりました。

 詩の視点も前作のとげとげしい弱みの部分が薄れ、比較的落ち着いている。それの空気が、一つ一つの曲にもあらわれて、またアルバム全体を通しても感じられます。安定してる。

 ただやっぱり、あのとげとげしいところをどうしてもリスナーとしては求めてしまう。若干物足りないのも否めません。

 でも、このアルバムはむしろ次へつなげる要素が強かったように思います。メンツとの相性ってのも確かめられたし、まあ海外行ってあらたなものを掴んだみたいだし。次に進むための地固めといういみでは価値あるアルバムだよな〜って思う限りです。

 そんななか唯一鋭角にとがった曲「Tree Climber」が異様です。ポストパンク風で、破壊的なギターが炸裂。非常に乱暴なナンバーですが、キレは抜群です。こんな曲をシングルとした放つカエラはやはり異彩。そして、次の展開がこの曲から見えてくる。

「Tree Climber / 木村カエラ

4th Album「+1」 −???

+1 (DVD付)

+1 (DVD付)

 アルバムのコンセプトは、タイトル通り、普段の生活にもう一つ付け足すことで、より素敵なものが生まれるのではないかという、若干ニューウェイブくさい思想になってます。

 今回も過去最高じゃないかというくらい豪華作家陣。アイゴン、しのっぴ、石野卓球というシングルを飾った面々をはじめ、藤田勇(Mo'some Tonebender)、AxSxE奥田民生との再対決、DE DE MOUSE、mito、高桑圭、Jez Ashurst。その他、演奏などで、石橋英子detroit7、一瀬正和(ASPARAGUS)、yoheyOKAMOTO、4106、柏倉隆史小松正宏(bloodthirsty butchers)となってます。さらにアクの強い個性派が揃っています。

 どうやら、ScratchというよりCircleの延長線上になりそうです。とんでもない作品になっていることが期待できます。

 詩はどうやら、「Samantha」のように弱みを受け入れて、それでも温かいところを出して生きたいという視線になってきてるみたいです。

 新曲、AxSxEプロデュース「STARs」。

「STARs / 木村カエラ

まとめ

 で、結局、カエラを好きな理由は何?

 やっぱり同い年だから?カエラが出す作品出す作品に素直に自分を投影することができるから。若く気持ちに余裕がなくいときは、そのような作品を出してくれるし、落ち着いてきたら落ち着いた作品を出してくれる、そしてもうちょっと魅力を増やしたいなというときには、さらに1要素という作品を出してくれる。無理なく、等身大のまま、僕の今のモードのまま作品を出してくれることですね。あー、カエラのような同級生いてくれて本当に救われるよ。

 それでいて音が全くダサくないこと。全部聞くことができます。しかも僕が大好きなクラムボンAxSxEといったところで、確実にキラーチューンを出してくれるってのが本当に嬉しい。そして今作一番期待できるのがDE DE MOUSE。一体どんなんなってるんだろうね〜、楽しみだね。そして勇作品。なんとなく予想はできるけど、どれだけカエラで破壊的になってるのか、すごく楽しみ。あと、う〜ん、嗜好がやっぱりあってる、間違いなくバッチリ。やっぱりすきなのはニューウェイブ風、ポストパンク風なところ。新しいものを聞いてみたい!そこにつきます。

 それで、あと人柄かもな〜。キレるカエラが大好きです。自分に異物感を感じたら、まあ全然興味がないものにへはどうでも良いんですけど、自分にシンパシーがあると感じたものに対して、異物感みたいなのが見えたら、間違いなくキレる。違うものは違うと言える人間になりたい。

 そういったものをカエラは全部しょって音楽界で戦ってる。僕達の方法で。まるで分身が頑張っているように見える。しかも、その姿は最高にカッコいいよ!頑張ってくれ、カエラ

 最後のこの画像に意味はありません。容姿がどんどん変わるカエラを楽しんでください。まあこれを見て、今回のエントリーを思いついたってのはありますけどね。