KARATE HOUSE


 いろいろと2ヶ月間考えてみたんだけど、やっぱりこのアルバムを表す一言っていうのは『自信』だと思う。隅から隅まで自信で覆われているアルバム。他に分析できそうな要素っていうのを探してみたんだけど、結局見つからなかった。


 まず1曲目の"ワトソン"、これがとてつもなく会心の出来。今までのポリでは曲からは溢れ返っていたアイデアっていうのを、一曲に形として見事に集約できている。しかも別に丸くなっているわけではなく極めて尖った形で完成してる。非常にスマートにできています。こうやってしっかりと収めこめるってことができるっていうのは、やっぱり自信からだと思う。今までは自信がなかったからカオスにしかできなかったんだけど。中盤から後半へかけての「ピーーー」っていう1K音、さらにその後のギターブレイク。最高。
 そして3曲目の"ニューウェイブ相談室"。ポリのインスト・サーフロック・ナンバーっていうのは、高いクオリティーながら毎回アルバム中盤にひっそりと置いていたけれども、今回は自信があるからアルバムの頭の部分の3曲目。
 しかもこの配置、ポリ至上もっともポップなパンクナンバーの"Electric Surfin' Go Go"をワトソンと相談室で挟むってことが出来ています。正直コアなファンにはこの曲はあまりにポップすぎて"?(ハテナマーク)"が出る曲だと思うんですが、これを挟むことによって不自然じゃなくアルバムの中でうまくこの曲を消化しているし、しかも最近増えてきたポリ初心者のみなさんには非常にとっかかりやすい1曲がアルバムの2曲目に入っているという、どちらのファンにとっても好材料になるところが大きいです。すごく絶妙すぎる配置です。
 4曲目5曲目の"Catch On Everywhere""ハードロックサンダー"は、どちらもハヤシの声を歪ませ、ファンク、ハードロックという今までポリになかった要素を加えたキラーチューン。新しいことに挑戦して、かついい曲ができるっていう、非常にバンドの状態がよい証拠。メンバーがインタなどでしきりに「今は何を演奏してもポリシックのサウンドになる」って言っていたのがよくわかります。
 今回ハヤシがよく歌っている。でも、他のメンバーがひっこんでいるわけではない。フミは相変わらずバンドに積極的に自分のアプローチを加えて陰の番長的な存在になって重要な働きをしているし、カヨちゃんも今回のアルバムではキラーチューンを歌う方で貰っていないんだけど("Black Out Fall Out""New Wave Jacket""Baby Bias"に匹敵する曲がないってことですよ!。ただ"夢・打ち込み"はキラーチューンではないけど、今後のポリの為の実験って様な気がするから、やっぱり重要なところではカヨちゃんが歌っていることになる。)、キーボードで結構すごいキレのある演奏をしているっていう、プレーヤーとして円熟してきているって感じがする。さらに今回あまりにバンドの状態がよかったことから、さらなるお釣りとなるようなバンドの一要素が加わった。ヤノのコーラス。あまりに良すぎて、笑ってしまう。"ズーバーマン""プロテニス"、コーラス最高。
 このアルバムで一番好きな曲は"オールウェイズハピネス"だ。いろんな日常の音を拾ってきて曲中に散りばめてある、基本今後のポリの一要素としてあつかえるような実験曲なんだけど、すごくメロが良い。意外とハヤシが得意としている泣けるメロなんです。ポリには実はこういう曲もあって。それが本当にいいんだよね〜。大好き。もちろん同じ理由で"You-You-You"が良いのは言わずもがな。
 "Shizuka is a machine doctor"は好ナンバー。何も言うことなくて良い。
 なんか"偉大なる頭脳"に対しての評価がすごく高いけど、正直それはわかんない。P-MODELがそれだけ凄かったってこと?そしてそれにポリがうまく共振してるってことなんかいな?やっぱり僕にはわからん。


 本当に自信があふれた、吹っ切れたアルバムだ。バンドが絶好調。ポップサイドへのアプローチを見越したら、実質的に1stアルバムのような扱いでしょ。(Now is the timeはデビュー前にインディで出しているような扱いにして!)この人たちはこれからも突っ走っていって欲しい。日本でそして世界で。ポリにはネタ切れというものが存在しない。常に新しいことの提示を忘れなければ。

 あ〜、本当にライブが楽しみになってきた!!

KARATE HOUSE (初回限定盤)(DVD付)

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