生命力


 本当はこの「生命力」のレビューはチアー&ジャッジ形式という新たな試みで書こうとも思ったんだけど、やめにした。次にとっておこうと思います。チアー&ジャッジは難しいよ。いっぱい書かないといけないから。思いつきだけでやれないな…。

 レビュー始めます。いつも通り、ダラダラ書きます。

 まずアルバム冒頭"親知らず"。これが名曲過ぎる。1st耳鳴りの1曲目"東京ハチミツオーケストラ"は東京に出てくること、メジャーデビューすることへの不安を1stアルバムのしょっぱなに入れ込んで、それは最高だったんだけど、今作2ndでは、それに対して東京に出てきて、ある程度成功して。新たな生活に馴染んで、そんな日常も描きつつ、故郷の家族を思い出すっていう。家族写真に思いをはせるっていう。そんな描写が素晴らしいね。これ是非、シングルカットしてください。最近、アルバムからシングルカットって聞かないな〜。

 あと1曲目2曲目の演奏の勢いがよい。チャットモンチーとしてのバンドサウンドを確立できたように感じる。1stの2・3曲目で必要以上にかき鳴らしていた成果ってのが、ここにできてるって思う。今作のテーマとして「3人によるバンドサウンド」っていうのを僕は意識していたんだけど、それが120%で返してくれたと思います。

 2ndアルバムを聞いて思ったのが、詩力ってのが上がったな〜って。特にあっこちゃん。あっこちゃんと言えば、もともと細かいネタを詩中にばら撒いた、例えるならば"モバイルワールド"のような聞いていて面白い詩ってイメージがあったんだけど、今作では女の子具合がグッとアップ。この変化は目を見張るもんがある。クミコンの歌詞は非常に優等生。本当に優等生のJ-POP作詞家だと思うよ。日本でも指折りのキレイな詩を書きます。もともとだけど、さらにそのレベルで作品を出してくれてうれしい。えりこは今作2作だけだったから、ちょっとわからない。"橙"はいい曲。

 チャットモンチーの2ndにおける課題に僕が見ていたのは、「はたしてこの子達は、"Sunday People"を作ることができるのか?」ってことだったんだけど、まあできませんでした。このバンド、詩に関してはめちゃめちゃ良いんだけど、サウンドがちょっと大きく跳ねなかったな〜って思いました。どうせ"シャングリラ"や"とび魚のバタフライ"止まりだな〜って。"Sunday People"には音楽的に到底とどかないなって。このバンド、淳治くんいるんだけど結局ナカコーはいないんだよな、ってことを決定的にしてしまったというアルバムになってしまったと思います。サウンドのセンスがある人ってのが、いないんだよな〜。

 サウンドがつまらないです。"素直"とかのピアノ/クラリネットっていうのはあるんだけど、それも決定打には到底及ばない。"とび魚のバタフライ"のサーフ風、"シャングリラ"の一拍増やし、"橙"の拍のずらし変拍子も、どれも佳作ながら、全く"Sunday People"には及ばない。そんな感じになってしまった。

 "バスロマンス"はゆったりとした名作。"世界の終わる夜に"は安易な終末思想ながらも、これは映画主題歌っていう、ある意味お仕事として優秀な作品をこなせたっていうグッジョブな作品。"とび魚のバタフライ"も、J-POP界を生きるうえで必要だった作品。J-POPで戦うって役目は、十分このアルバムで果たせたと思います。このアルバム、オリコン1位取れないの?たぶんもう出てるだろうけど、まだ入ってきてないけど。どうなの?とってほしいです。日本を制して、またひとつ知名度・話題性をあげてほしいです。

 キラキラ感が減とか、サウンドのバリエーション乏しいとか、キラーチューン不在とかいろいろ言われますが、まあそれなりに作品としては仕上がっていて、悪くないんじゃないかと思います。むしろ十分聞ける作品となっています。

生命力

生命力