サイケな恋人

 久しぶりに通常な感じのエントリーを書いてみます。最近頭に流れている曲をご紹介します。

 京都を中心に活動するスリーピースバンド、モーモールルギャバン。切ないポップサウンドにおバカな歌詞がのった音楽性と、インパクトのある破天荒なパフォーマンスで知られています。本人たちは、見に来た人をアッと言わせるような“J-POPテロリスト”のを目指しているそうです。

 11月に出したアルバム「野口、久津川で爆死」というアルバムの最後に収録されているのが、この曲「サイケな恋人」です。

「サイケな恋人」 モーモールルギャバン

 こんなに美しい曲を聴くのは久しぶりな感じがします。もう青春小説を読んでる感じ。青春小説と言ってもキレイなやつじゃないよ。青い春の前に屈して、潰れていく人の物語だよ。

 曲は女性ボーカルで歌われ、どうしようも無い男に対して恋をしてしまった女の思いが描かれている。

歩いて ゆけるのかしら ゆれずに ぶれずに
あなたは 変な髪型 ジーンズが 似合わない

恋して みたはいいけど 毎日 ラーメン
恋して みたはいいけど 毎日 プレステ

 サイケな恋人とはこの男のことを指している。最初の4ラインで、相手の男の特徴と、女のぼんやりとした不安を美しく描ききっている。

 このバンドは様々な音楽のスタイルを演奏に吸収していて、演奏力が極めて高い。このアルバムの全曲を聴くと、様々な面をもつ曲たちに驚かされるだろう。この曲に関しては、SPECIAL OTHERSみたいな音のキーボードによる美しい旋律が奏でられ、非常にゆったりとした呑気なフィーリングが、曲の前半を支配する。

夕暮れ 川沿い 流れるゴミ あなたのよう
パンチラ 大好き あなたはゴミ 消えればいい

 そんなサイケな恋人の彼と彼女との間にも、やがて別れの瞬間がやってくる。この最低な男は大好きなパンチラを見るために、覗きの痴漢行為を犯してしまう。 

サイケな恋人 また会いましょう サヨナラ
悲しくないけど また会いましょう サヨナラ

 どうしようも無い男、別れて当然なのだけども、心のどこかで、また巡り合いたい気持ちもあったりする。呆れてものが言えないほどの男だけど、あなたの日々が心残りだたりする。

 どうしもようも無い男を好きになってしまった、女の子の情景を美しく描ききっている。


 曲の後半、ボーカルのターンがドラムの男に移る。このドラムの男が、今まで描かれていたどうしようもない男役だ。演奏も一段と荒々しくなる。

見えないものを見ようとして 鏡を覗き込んだ
見えないものを見ようとして 直に覗き込んだ

SAY パンティー SAY パンティー SAY パンティー
パンティーって言え!

 「パンティーって言え!」それ言いたいだけやろ。J-POPテロリスト、彼らの変態っぷりが、いきなりぶち込まれてくる。

サイケな恋人 また会いましょう サヨナラ
悲しくないけど また会いましょう サヨナラ

 どこか抜けているとも感じられる、表情を変えない女の声と、勢い任せのド変態シャウトの男の声によるユニゾン。とっても切ない気分にさせられる。途轍もなく美しい曲です。

野口、久津川で爆死

野口、久津川で爆死