娯楽


 遅れましたが娯楽のレビュー、張り切っていきたいと思います。


 娯楽をたくさん聞いて、雑誌やネットで東京事変についてのインタビューや批評をいっぱい読みました。

 東京事変と言うバンドは、椎名林檎が理想の音楽スタイルを確立するための壮大なプロジェクトである。正しいバンドとしてのあり方、正しい楽曲のクオリティ、正しいリスナーへの提供のしかた、そして正しいリスナーの受け止め方。これらすべてを極限まで理想を追い求め、かつ現実的に実行可能である最大限のところまでもっていっているバンドである。そして、アーティスト&リスナーのそれぞれの音楽との接し方の、新しいスタンダードを作るために奮起しているバンドである。彼女・彼らは「これが普通」だと言い放つ。しかしここまでやっているバンドは普通にはいないんだ。だからこの普通っていうのは理想ってことをあらわしてる。なんだ、このカッコつけないカッコよさは。

 理想なバンド構造を築くため、今作では大半の曲の作曲を浮雲と伊澤に椎名が丸投げした。これはやはり東京事変というバンドが椎名ワンマン体制のバンドになるってことが危険だからということを恐れた為である。バンドとはメンバー全員で楽曲を作っていくってことが大事である。それを実践したカタチである。このことにより椎名の負担は軽減。もともと自分の世界観を完璧に作り上げてしまうタイプの椎名であるので、このことで椎名の独り相撲になることを回避した。よって今作では椎名節っていうのが聞かれることがなくなった。

 この効果が最高の結果をもたらしたのがシングルの2曲。"OSCA"はアバンギャルドな攻め曲で、ここまで攻めきれる勇気は林檎ちゃんにはなかった。"キラーチューン"はここまで単純に良い曲を歌いきる勇気が林檎ちゃんにはなかった。この一歩踏み込んだ曲をやることができたのは、完全に浮雲と伊澤に責任を丸投げできたからである。自分ができなかったことを、人に押し付けることで可能にしました。これにはちょっと感動するよね。今までワンマンプレーが身上だった人が、チームプレーでさらに良い結果を得たんだから。日本のJ-POP界ってやっぱり一人(カリスマ)に全てをコントロールさせる傾向が強いんだけど、それを突破できたってだけでかなり革命的。

 そしてバンドとしての3人(林檎・伊澤・浮雲)の関係性なんだけど、インタービューとかを聞いていると、まだまだ馴れ合ってない感じがします。3人が3人とも、お互いがお互い何をしてくるか牽制しあって、ビチビチ火花を散らしてる。すごくバンドとして良い状態、良い状態。

 しかし林檎ちゃんが他人に責任を押し付けた弊害ってのもあって。やっぱりシングルに入っていたC/Wの曲って、曲としてのクオリティがやっぱり低かったと思うの。だからちょっと今回のアルバムが届けられるってのが不安でしょうがなかった。だけどさ、結局アルバム聞いたら、全部いいわけ。それはもう間違いない。頭から後ろまで全部聞ける。

 物足りないって言ってるやつどこの誰だよ!ロキノンの兵庫副編集長??謝れ、日本の最大の邦楽ロック雑誌が、そんなことじゃいかんやろう、絶対。

 やっぱりさ、名盤を作ることだけがアーティストの仕事じゃない。音楽はゲージュツですから!自分の信条に乗っ取って、それをレプリゼントできるものだったら、それが一番素晴らしい。


 以上、レビューでした。まだまだ正直聞き足らないな〜。もっと聞いていきたい。

娯楽(バラエティ)

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